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秋の日の図書館の


なつかしの図書館が遂に消えてしまった!


豊橋、豊川方面から国1を西に走ると、ポプラと国府高校とオレンジ色の図書館の屋根が見えてくる。そして我が家も近い・・この見慣れた風景が、時の流れと共に田園に次々と住宅が建ち並び、いつの間にか視界から消えた。この時最初の寂しさが襲った。が、今度の解体の寂しさは“わが青春よさようなら”時が時を呼んで格別な寂寥感がある。

存在するということは、人間も物体も同じで生命がある。我等と共に生きてきた図書館が消えた!私の場合は本を読むために親しんだのでなく、乙女の憧れのスポットだった。こうなると、あの図書館は学生たちに癒しの場をくれたのだ。当時としては小さいがお洒落でシャイな図書館だった。卒業後も

♪・・蔦のからまるチャペルで〜
      夢多かりしあの頃の思い出をたどれば〜
      秋の日の図書館のノートとインクの匂い〜
      枯葉の散る窓辺♪・・・

この『学生時代』の歌を聴く時歌う時、いつも浮かぶのは、何故かあのチャーミーな図書館だった。屋根はその後改修され、色が変ったと聞いたが、そんなことはどうでもいい、私の中にはオレンジ色の屋根しか記憶にない。古いアルバムから当時の写真を探した、玄関の石壁は昔のままだ・・石の欠片でも記念にしたかった(撮影してくれた白井さんにお願いすればよかった)乙女のセンチメンタル・ライブラリーは生きていた。

さようなら図書館、夢をくれた図書館、もしあの世で会えるものなら、あなたの懐でもう一度本を読んだり写真を撮ったり、歌を謳いたい。その時は鎮魂歌ではなく、青春賛歌にしようね! ささやかな追悼に感謝を込めて   

2006、10、8 栃久保 紀子
['06.10.09 初掲]