「木造校舎はもうない」
3年1組 酒井圭吾

33年前の入学式当日。緊張と不安と期待に渦巻く1年1組へ私を迎えてくれたのは、歴史のある?敷地のいちばん北の「木造校舎」だった。
薄暗い教室。「バカ!」「体制打破!」…などと、先輩方が書いたと思われるキズのある机。どんなに閉め切ってもすきま風の入る窓。男子クラス特有の汗臭いにおい。しかし、そんな記憶の中でも、冬場の教室の後ろにある「ストーブ」がいわゆる議論の場であったことが高校生活のもっとも楽しかった事のひとつとして思い出される。たわいもない話題だったと思うが勉強の話はまったく無かったように思う。
在学中はまだこの校舎も残っていたように記憶している。私の高校生活の原点としてすべての記憶が「木造校舎」とダブってしまうのである。今でも鮮烈な記憶としてなぜか残っている。
高校生活の思い出はいつの時代でも人それぞれの「場」があるに違いない。
「木造校舎」は当然のことながら今はもうないが、今でも私の心の隅にある。

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