「新たな時代と教育雑感」

愛知県立国府高等学校同窓会
会長 山 本  和 明

愛知県立国府高等学校同窓会会員の皆様方には、益々ご健勝にてご活躍のこととお慶び申し上げます。また、日頃は同窓会並びに母校へのお力添えを賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、21世紀も3年目を迎え、新たな希望に満ちた時代の到来を待ち望んでいるのは私一人ではないと存じます。
情報通信機器などの飛躍的な開発・発展、いわゆるIT革命の進展により、どんな情報も世界中に瞬時に伝わるようになり、文字通りグロ一バルな時代となっています。しかしながら、東西の冷戦構造の崩壊後、アメリカを中心とし、ヨーロッパ・アジアも含めた世界規模の経済競争の激化や中東・朝鮮半島情勢への対応にみられる世界政治の動きなど、時代の潮流は予断を許さない状況にあります。
国内においても、高度成長期・バブル期の時代が過ぎ去り、その後の長い景気低迷は、55年体制の綻びを示唆しているかのごとく、様々な社会矛盾となって現れ、我々に変革を迫ってきています。
こうした時代の潮流を的確に受け止め・新しい社会のあり方を提示するような知恵と実行力が今、求められていると存じます。
私たち一人ひとりには小さな力しかありませんが、地元愛知には恵まれた県土、豊かな文化と歴史、技術力の蓄積、卓越したものづくりのカなど先人の残した尊い財産があります。今こそ、これらを結集し将来の発展の基礎づくりを着実に進め、魅カと活カに溢れる地域社会を確たるものにしていかなければなりません。
こうした中、教育と社会の関係についても、新しい人づくりを目指す教育が迫られている状況にあると存じます。思い返せば、我が国の教育は、大戦後、機会均等の理念を実現し、国民の教育水準を高め、経済社会の発展の原動力になるなど、その時代の要請に対応しつつ、様々な成果をあげてまいりました。私自身、学生時代に思いを馳せるとき、人生の最も多感な時代に、母校の伝統ある校風と先生方のひたむきな熱意に支えられ、人間形成の基礎を築くことができたと信じております。今日の状況はといえば、残念ながら社会の都市化や少子化を背景に家庭や社会の教育力が著しく低下し、様々な問題が発生していることは、皆様ご案内のとおりであり、非常に憂慮すべき事態であると存じます。次代を担う母校在校生諸君が明るく、心豊かに成長し、母校を巣立っていくことは、私ども同窓生の共通の願いであります。
私は、時代環境が目まぐるしく変化してはいても、家庭こそが教育の原点であり、基本的な生活習慣や社会のルールを身に付けさせ、思いやりや正義感など基本的な倫理観を育む場であると確信しており、私ども同窓生が、子供たちの親としての立場からも、原点に戻り、より良い地域づくりの一翼を担うべく努力してまいることが肝要かと考えている次第であります。
いずれにいたしましても、私ども同窓生が同窓会活動を通じて交流を深め、愛する母校の発展に少しでも役立つことができれば幸いに存じます。今後とも、同窓会にご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げますとともに、皆様方のご活躍、ご多幸を心からご析念申し上げ、ご挨拶とさせていただきます。

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