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海中散歩(7)
(ゲンジボタルさんの談話室投稿 2009/11/02 より)
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番外編
10月24日、午後8時14分、八丈島沖で転覆した漁船の船底部から4日振り、奇跡的に救助された3人のニユースは本当にうれしかった、同時に多くのことを教えてくれました。
海中散歩で投稿するには心苦しいが、潜水士(ダイバー)の活躍に感銘、番外編として私の感想を。

写真は家族と涙の再開、子供と抱き合い、見ているだけでこちらまで熱くなる感動の瞬間。
助かった3人は「半分あきらめていた、どういう死に方をするのか、いつ息が吸えなくなるのか恐怖だった、しけていて揺れっぱなしだった、後半は意識がない状態だった」と語りながらも「1人ならダメだった、途中で外へ脱出しようとした仲間を引き止めた、あの世に行ったら一緒にビール飲もう、オーイ、生きているかと声を掛け合った、腐った水を飲まずに我慢した、船底のペンキの薄いところから差し込む光で日にちを数え、台風が来るから4日後には助けに来る」などと、極限状態の中で冷静に分析して励まし合っていた。
海上保安庁の潜水士(ダイバー)たちは実に立派だった。特殊技術を持ったベテランたちは不在、若手ばかりのチーム。「よくぞ生きていてくれた、何としても助けたい」と、絞り出すような声。何が何でも助ける、という使命感に溢れている。

救助方法を説明しているが、ダイバーなら想像できますが、手に持っているのはレギュレーター(タンク内の高圧空気を通常呼吸している空気と同じ圧力まで下げる装置)を口にくわえ、空気を口から吸い口から吐くのです。左下にもう1本ホースが見えるが、これはオクトバス(緊急時に1つのレギュレーターから空気を分け合って使用)です。
転覆した船の周囲はいろいろなロープや漁網、配線など潜水士には危険がいっぱい。この間をくぐり抜けて船底の避難スペースに近寄るだけでも大変である。緊張した会見、絞り出す声の意味が伝わってくる。

この船底から、弱り切った体力、恐らくオクトバスを使用した経験はないだろう3人に、口にくわえさせ、空気を吸いながら手を引いて、いったん船縁をくぐり抜けるため潜り、海上までの6メートルを障害物を避けながら、ゆっくり浮上して助け上げられた、と想像します。
「生きて帰られて、言葉にならないくらいうれしい」この言葉に集約されている。しかし亡くなった船長、行方不明になっている仲間4名のことを考えてか、救助された3名に笑顔はなかった。これが海の男たちだろう

海が大好きな私には、過去2、3度あった危険な場面を思い出し、緊急時に自分ならどうするか! 自問自答しながら今回の遭難・奇跡的な救出劇をみた。
('09.12.12 初掲) 前頁 /